浮体構造物(マリンフロート)の活用に関する調査研究

 

 マリンフロート推進機構の事業を継承したことにに伴い、当会では平成20年度より新たな自主研究事業として「浮体構造物(マリンフロート)の活用に関する調査研究」を立ち上げました。ここでは、調査研究の対象となる「浮体構造物(マリンフロート)」について紹介します。 

 

                      これまでの経緯              パンフレット(PDF)                 

 

1.浮体構造物(マリンフロート)の分類

  

  1)規模(建造条件から):

     浮体構造物は一般的に船舶建造と同様に造船所のドックで建造されますが、ドックに入らない大型浮体構造物(メガフロート)は海上にて浮体ユニットを接合して建造されます。

  2)構造様式:

浮体構造物は湾内など静穏海域に適するポンツーン型構造と波浪条件の厳しい沖合海域で利用できるセミサブ(半潜水)型構造があります。

  3)係留方式:

浮体構造物の係留方式には、主として軟着底方式、係留ドルフィン方式、係留策方式およびダイナミックポジショニング方式があり、現地の条件に適した係留方式が採用されます。

 

2.浮体構造物(マリンフロート)の活用事例

  

  1)国内の事例

     ・浮体式空港

      浮体式空港は、国内外で数多く提案されていますが、運用されているものはありません。事例としてはメガフロート技術研究組合が平成11年に横須賀港沖合に設置した浮体空港実証実験用の空港モデル(長さ1,000m、幅60〜121m、面積84,000u、鋼材重量37,000t)があります。この空港モデルにより2000m級の空港の開港テストおよびDHC-8他の小型航空機による離着陸実験が行われ、浮体式空港が技術的に十分対応可能であると評価されました。

     実証実験用空港モデル    提供:メガフロート技術研究組合

DASH8離陸メ

      空港モデル上の離発着実験  提供:メガフロート技術研究組合

 

     ・海釣り公園

海釣りは岸から離れた海域で魚が多い場所が望まれます。海釣り公園に浮体構造物が各地で採用され好評を得ています。鋼製の浮体構造物は魚礁効果があること、浮体甲板を多目的に利用できることから海釣り施設に適しています。

         兵庫県南淡町 浮体式多目的公園 

         三重県五ヶ所湾 マリンパークくまの灘

          静岡市清水港 海釣り公園

 

     ・浮体式防災基地

浮体式防災基地は、激甚災害発生時には被災地へ曳航・移設して防災基地として使用されます。通常時は水上アクセス用の公共桟橋や海釣り施設として利用されています。

利用例004

         東京湾の浮体式防災基地(横浜港に係留)

 

USG浮体桟橋

    大阪湾の浮体式防災基地(後方はユニバーサルスタジオ)

 


 

   ・屋外海上舞台

船舶や浮体構造物を臨時の海上舞台に使用する例は多く、その理由は移動・撤去が可能なこと、臨時のイベント会場に適することなどが考えられます。

   FIFAワールドカップ2002前夜祭会場(横浜大桟橋に接岸)

 

     ・浮体道路

夢舞大橋

     夢舞大橋(旋回式浮体橋梁)

 

     ・水上レストラン

浮体レストラン

      天王洲アイル 水上レストラン

 

2)海外の事例

     ・浮体道路

浮体式橋梁の歴史は古く紀元前から利用されており、主にアメリカはコンクリート製のポンツーン型が多く採用されています。北欧では水深の深いフィヨルドに架橋されセミサブ型の実績が多い。

 

Floating Bridge ノルウェー
    第3ワシントン橋(アメリカ) 

Floating Bridge ノルウェー

          ベルグスンド橋(ノルウェー)

 

    ・浮体式港湾施設

浮体式港湾施設は急激に水深が大きくなり埋立が困難な海域や杭の打ち込みが困難な海底地盤の場合に適した工法です。また、現地工事が困難な地区にも浮体施設を曳航設置することにより短期間に港湾施設を整備可能です。

コンテナターミナルや石油の積み出し施設などの事例があります。

     ヴァルディス(アラスカ)コンテナヤード

     アラスカ原油積み出し施設

 

     ・ヘリコプター基地

ヘリコプターは大型船舶にもヘリポートを設置していますが、浮体式で専用のヘリポートを設置する事例もあります。

     ヘリポート離発着場(バンクーバー)

 


3.浮体構造物(マリンフロート)の新しい提案

 

  1)外洋風力発電用大型浮体システムの提案

(独法)国立環境研究所の委託を受けて、係留の不可能な大水深海域で大型風力発電を行える外洋風力発電用浮体システムの調査研究を行いました。

浮体:長さ1880m、幅70.2m、高さ32m、鋼重:約12万トン

発電:5MWの風車11基を搭載

位置制御:帆とスラスターにより自動制御

   洋上風力発電用浮体システムのイメージ図

 

  2)海ホタル空港(首都圏第3空港)の提案

 

0108

      海ホタル空港のイメージ図

浮体式滑走路完成イメージ図

      空母艦載機の訓練用滑走路のイメージ図

 

  3)浮体式LNG基地の提案

LNGの受入、ガス化、払い出し機能に加えて、100万トンのLNG貯蔵能力を有するものとします。冷熱を有効利用するために、1000kwの冷熱発電設備及び50万mの大容量冷凍・冷蔵倉庫を併設した点が特徴です。このためにLNG船用及び冷凍コンテナ船用バースを各1カ所設けており、発電した電力は基地内の負荷に供給します。

 

鳥瞰図060317

      洋上LNG基地イメージ図


 

  )浮体式原子力発電所の提案

石油価格の高騰と地球温暖化への対応から原子力発電が見直され、世界各地で建設が進められている。一方、原子力発電所の耐震性が問われており、浮体式構造の免震性に着目した「海に浮かぶ原発」を真剣に検討すべき時期がきている。

特に、離島を対象とした小型原子炉による小規模原子力発電所の建設により、電力と水不足を解決する方法として注目されます。

H20外観図(ロゴ無)

     小型洋上原子力発電所のイメージ図

 

  )大水深対応浮体式コンテナターミナルの提案

ドック式バースの採用により両岸荷役が可能であり、荷役能力を飛躍的に向上させること、浮体内部空間利用が可能なことなどにより次世代の大型コンテナ船に有効です。

  ドック式浮体コンテナターミナルのイメージ図


 

  )海洋基地ネットワーク構築の提案

我が国の排他的経済水域(EEZ)の調査・開発・保全を目的として、半潜水式浮体構造の海洋基地を適宜配置し、ヘリによるネットワークでEEZ海域を管理します。

このシステムの特徴は、一定海域に長期滞在が可能なこと、本土と離島間を結ぶヘリ空路の中継基地として利用可能、自然の波浪を推進力として利用し燃料費の節減が可能です。

050913観測・実験基地全体図

  多目的海洋基地のイメージ図

 

  )海水利用施設の提案

水不足および磯焼けへの対策として、沖合海域で深層水を取水して漁場改善のために沿岸海域に散布し、海水淡水化機能により淡水を供給する施設です。甲板上に風車を備えて取水に必要な電力を供給します。

    

  沖合海水利用施設のイメージ図


)海上都市の提案

 海面上昇に対応可能な究極の選択肢として、未来の海上都市構想があります。

 数々の海上都市構想が公表されていますが、当研究会が作成した構想例を紹介します。

 

    浮体式海上都市のイメージ図