第283号
現在、全国各地で急展開している洋上風力発電事業は、近い将来、開発や運営を担う人材が不足することが予想されています。一般社団法人海洋産業研究・振興協会は、資源エネルギー庁の支援のもと、洋上風力発電事業者と共同で「洋上風力人材育成推進協議会(略称:ECOWIND)」を立ち上げることといたしました(下記参照)。人材育成という趣旨にご賛同いただける企業の皆様は、本協議会へのご参画をご検討いただければ幸いです。会員の公募は、今後、本メールマガジンや海産研のホームページにご案内する予定です。
======= 目 次 =======
《一般情報》
1.再エネ海域利用法改正案(EEZ設置許可等)、参院本会議で継続審議と議決
2.小笠原海台海域の大部分を延長大陸棚に、関連政令一部改正を閣議決定
3.JOGMEC、令和6年度「先進的CCS事業」9案件を選定
4.ClassNK、洋上風力等「人員移動設備に関するガイドライン」を発行
5.日本財団・東大、南鳥島近海における海底鉱物資源の調査速報
6.商船三井、台湾洋上風力発電所向け3隻目のSOV造船契約を締結
7.川崎汽船、企業版ふるさと納税活用で徳島県美波町の藻場再生支援
8.ユーラスエナジー、スコットランド浮体式洋上風力発電に出資
9.Fugro社、新潟県村上市及び胎内市沖の洋上風発促進区域の調査を受託
10.米政府が9件目の洋上風発プロジェクトを承認、国内合計13GW超を達成
《海産研関係情報》
1.海産研、洋上風力人材育成推進協議会(ECOWIND)立ち上げで覚書を締結
2.7/18、第430回海洋産業定例研究会、海洋空間計画とECOWINDの2件
3.2024年度、会員向け出張情報サービスの実施について(再掲)
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《一般情報》
1.再エネ海域利用法改正案(EEZ設置許可等)、参院本会議で継続審議と議決
3月12日に閣議決定された「海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律の一部を改正する法律案」(改正法案の概要:EEZにおける海洋再生可能エネルギー発電設備の設置に係る制度の創設の他、区域指定の際に海洋環境等の保全の観点から国が調査を行う等)は、5月28日に衆議院本会議にて全会一致で可決された後、6月21日の参議院本会議において全会一致で継続審査と議決された。
https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/213/meisai/m213080213053.htm
2.小笠原海台海域の大部分を延長大陸棚に、関連政令一部改正を閣議決定
我が国の延長大陸棚として小笠原海台海域の大部分を新たに定める「排他的経済水域及び大陸棚に関する法律第二条第二号の海域を定める政令の一部を改正する政令」が、6月25日に閣議決定された。この改正により、今般定めた海域について、沿岸国として大陸棚における天然資源の探査・開発の主権的権利等を行使することが、我が国の国内法上可能となるとしている。施行期日は7月20日となっている。
https://www8.cao.go.jp/ocean/policies/tairikudana/pdf/240625tairikudana_j.pdf
3.JOGMEC、令和6年度「先進的CCS事業」9案件を選定
(独法)エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)は、2050年カーボンニュートラル実現に向け、横展開可能なビジネスモデルを確立するため、経済産業省事業の一環として、2030年までの事業開始を目指すCCS事業9案件を、令和6年度「先進的CCS事業」として選定したことを6月28日に発表した。今回選定された9案件は、合計で年間約2,000万トンのCO2を貯留することを目標としており、うち5案件が国内、4案件がアジア大洋州地域となっている。
https://www.meti.go.jp/press/2024/06/20240628011/20240628011.html
4.ClassNK、洋上風力等「人員移動設備に関するガイドライン」を発行
(一財)日本海事協会(ClassNK)は、「人員移動設備に関するガイドライン」を発行したことを7月1日に発表した。洋上施設上で保守・管理作業等を行う作業者が、船舶から洋上施設上へ安全かつ効率的にアクセスするための人員移動設備について、設計及び検査に関する事項や、要件を満たした船舶に対する船級符号の付記に関する規定がとりまとめられている。
https://www.classnk.or.jp/hp/ja/hp_news.aspx?id=11622&type=press_release&layout=1
5.日本財団・東大、南鳥島近海における海底鉱物資源の調査速報
日本財団と東京大学大学院工学系研究科は、日本のEEZ内(南鳥島周辺海域)に、レアメタルを豊富に含むマンガンノジュールが高密度で広範囲に分布する有望海域を特定したことを、6月21日に発表した。南鳥島周辺海域におけるマンガンノジュールの揚鉱実証試験及び社会実装に向けた検討の一環で、2024年4月下旬より47日間にわたる調査航海を実施、資源量や資源分布等の精密調査と、環境影響評価に向けた基礎調査を行い、その速報が発表された。今後、今回の調査航海の結果をもとに、揚鉱実証試験に向けた準備を進めるとともに、商用化を目指す産官学プラットフォームとしてコンソーシアム等の推進体制を構築していく計画としている。
https://www.nippon-foundation.or.jp/who/news/information/2024/20240621-102397.html
6.商船三井、台湾洋上風力発電所向け3隻目のSOV造船契約を締結
(株)商船三井と大統海運の合弁会社である大三商航運股份有限公司(Ta San Shang Marine Co. Ltd.、以下TSSM社)は、オランダのダーメングループと新造SOV(Service Operation Vessel)の建造に関する造船契約を締結したことを6月27日に発表した。同SOVは、アジア初の新造SOVである「TSS PIONEER」(2022年竣工)、「TSS CRUISER」(2025年末竣工予定)と命名予定のSOVに続き、TSSM社として3隻目のSOVとなる。
https://www.mol.co.jp/pr/2024/24082.html
7.川崎汽船、企業版ふるさと納税活用で徳島県美波町の藻場再生支援
川崎汽船(株)は、企業版ふるさと納税を活用し、一般社団法人「藻藍部」(徳島県美波町で「磯焼け (藻場の喪失)」問題に取り組む美波町を含めた地元関係者で立ち上げた藻場再生プロジェクトの活動主体)へ支援することを決定し、6月12日に徳島県美波町へ200万円の寄付を行ったことを発表した。
https://www.kline.co.jp/ja/news/csr/csr-20240619.html
8.ユーラスエナジー、スコットランド浮体式洋上風力発電に出資
(株)ユーラスエナジーホールディングスの海外グループ会社であるEurus Energy UK Ltd.は、Pentland浮体式洋上風力発電プロジェクト(英国スコットランドで開発中、規模は約10万kW)に参画するため、デンマークのファンド運用会社Copenhagen Infrastructure Partners P/S(以下、CIP社)との間で、CIP社及びスウェーデンのHexicon社が出資するHighland Wind Limitedの株式を、CIP社の旗艦ファンドを通じて一部取得することで合意したことを6月18日に発表した。同プロジェクトは、ユーラスエナジーグループが洋上風力発電事業に出資参画する初の案件としている。
https://www.eurus-energy.com/release/press-release/101060/
9.Fugro社、新潟県村上市及び胎内市沖の洋上風発促進区域の調査を受託
国際的な海洋調査会社であるFugro社は、6月27日付のニュースリリースで、新潟県村上市及び胎内市沖の洋上風力促進区域における調査業務を受注したと発表した。同海域における洋上風力発電プロジェクトは、三井物産(株)、RWE Offshore Wind Japan村上胎内(株)、大阪ガス(株)で構成されるコンソーシアムが事業者として選定されており、Fugro社の調査による海底地理データは、将来のタービン基礎やケーブルルートの詳細設計等に活用されるとのこと。調査業務は2024年5月から開始しており、現場にはFugro社のジャッキアッププラットフォーム及び船舶2隻が配備される。
https://www.fugro.com/news/business-news/2024/fugro-to-deliver-site-characterisation-surveys-for-rwe-mitsui-co-and-osaka-gas-s-offshore-wind-farm-in-japan
10.米政府が9件目の洋上風発プロジェクトを承認、国内合計13GW超を達成
米国内務省(DOI)は、7月2日付のニュースリリースで、ニュージャージー州のAtlantic Shores South洋上風力発電プロジェクトを承認したことを発表した。バイデン政権下で承認された商用洋上風力発電プロジェクトは本件で9件目となり、米国内における洋上風発の合計発電容量は13GWを超えることになる。同プロジェクトは、ニュージャージー州の沖合約8.7マイル(約14㎞)に建設されるAtlantic Shores South 1及び2という二つの発電施設で構成され、最大2,800MWの電力を供給すると予想されている。
https://www.doi.gov/pressreleases/biden-harris-administration-approves-ninth-offshore-wind-project
《海産研関係情報》
1.海産研、洋上風力人材育成推進協議会(ECOWIND)立ち上げで覚書を締結
当協会(一般社団法人海洋産業研究・振興協会)は、洋上風力産業の成長を人材育成の観点から支援する目的で、経済産業省の協力のもと、産業界と連携・協調し、その枠組みとして「洋上風力人材育成推進協議会(略称:ECOWIND)」を立ち上げる旨の覚書を6月21日に締結した。7/18に開催する、当協会主催の第430回海洋産業定例研究会にて、青山副会長よりその概要を説明する。(詳細は次の記事)
https://www.rioe.or.jp/cms/wp-content/uploads/2024/07/20240621.pdf
https://www.meti.go.jp/press/2024/06/20240621003/20240621003.htm
2.7/18、第430回海洋産業定例研究会、海洋空間計画とECOWINDの2件
7月18日午後、第430回海洋産業定例研究会を開催する。「海洋空間計画への期待」(70分程度)(東京大学総長特使(国連海洋科学の10年担当)・東京大学大気海洋研究所特任教授 道田豊氏)、「洋上風力人材育成推進協議会(ECOWIND)の立ち上げについて」(10分程度)((一社)海洋産業研究・振興協会 青山伸昭 代表理事副会長)の2件の話題提供を予定している。開催方式は会場及びWeb会議サービス(オンライン)によるハイブリット開催。(会場は定員に達したので締切、Webのみ受付中)参加費は、海産研会員・教育研究機関・官公庁・自治体・団体等に所属の方=無料、非会員(民間企業等に所属の方)=11,000円(消費税込み)/人。聴講希望の方は、7月12日(金)午後3時までに以下のURL内のリンクよりお申込み下さい。
https://forms.gle/Eg2wJ71SUfwh4AxS6
https://www.rioe.or.jp/seminar/430-20240718/
3.2024年度、会員向け出張情報サービスの実施について(再掲)
当協会では、会員企業等を対象に事務局スタッフがお伺いし、これまで当協会が蓄積してきた情報をもとに特定のテーマに関する情報提供を行う「出張情報サービス」を実施しています。社内研修の一環等にご利用いただければと思います。今年度は、9月末までの期間で、随時、申し込みを受け付けます。詳細につきましては、お気軽に事務局までお問い合わせください。