第286号
先日、テレビ朝日の「緊急報告!再エネ革命 風車が導く奇跡の物語」を拝見しました。スケールの大きい洋上風車のダイナミックな映像は、普段洋上風力に関連する情報に接している身でも、しばし感動した次第。当番組を見た一般の方への影響は少なくないと感じました。残念ながら、再エネ海域利用法の改正案は廃案となりましたが、新たに発足した内閣の洋上風力に対する取り組みにも期待したいところです。
https://www.youtube.com/watch?v=H1_GdKcRW_I
======= 目 次 =======
《一般情報》
1.再エネ海域利用法促進区指定に向け、新たに3区域を準備区域として整理
2.東電・北電・大成、NEDOの浮体式洋上風力関連で採択
3.ClassNK、浮体式洋上風力の浮体曳航及び係留施工ガイドラインを発行
4.NEDO・GI基金フェーズ2、秋田沖浮体式洋上風力で研究開始
5.ENEOSリニューアブル・エナジー、ノルウェーの浮体式洋上風力発電に参画
6.東洋建設、自航式ケーブル敷設船の起工式を挙行
7.11/1、日本科学協会が研究発表会-ブルーエコノミーとその加速に向けて-
8.米政府、オレゴン州沖の洋上風発事業権の入札を延期
9.EU、大規模な浮体式波力発電の実証プロジェクトを承認
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《一般情報》
1.再エネ海域利用法促進区指定に向け、新たに3区域を準備区域として整理
9月27日、経済産業省及び国土交通省は、再エネ海域利用法に基づき、「秋田県秋田市沖」、「和歌山県沖(東側)」及び「和歌山県沖(西側・浮体)」の3つの区域を新たに「準備区域」として整理したことを発表した。準備区域は、「有望区域の要件は満たさないものの、都道府県として、今後協議会を設置して具体的な協議を行うことを念頭に、利害関係者等との調整に着手している区域」とされており、合計11区域となった。
https://www.mlit.go.jp/report/press/port06_hh_000298.html
2.東電・北電・大成、NEDOの浮体式洋上風力関連で採択
東京電力ホールディングス(株)、北海道電力(株)、大成建設(株)の3社は、NEDOの「浮体式洋上風力発電の導入促進に資する次世代技術の開発」において「フルコンクリート製コンパクトセミサブ型浮体および大水深係留の技術開発」を提案し、採択されたことを9月11日に発表した。大水深係留の技術開発として、深い水深に適用可能なトート係留方式を共同で開発するとしている。将来的な実海域での技術開発検証を視野に、地域受容性に関する調査も行われる。
https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/assets_cms/pdf/2024091101.pdf
3.ClassNK、浮体式洋上風力の浮体曳航及び係留施工ガイドラインを発行
一般財団法人日本海事協会(ClassNK)は、ケイライン・ウインド・サービス(株)(川崎汽船(株)と川崎近海汽船(株)の合弁会社)と連携して「浮体式洋上風力発電設備建設のための浮体曳航及び係留施工ガイドライン」を発行したことを9月24日に公表した。同ガイドラインは、浮体式洋上風力発電設備の浮体曳航や係留施工技術の社会実装と国際展開を促進し、安全かつ効率的なプロジェクト開発を支援することを目的としている。
https://www.classnk.or.jp/hp/ja/hp_news.aspx?id=12142&type=press_release&layout=1
4.NEDO・GI基金フェーズ2、秋田沖浮体式洋上風力で研究開始
9社からなるコンソーシアム(丸紅洋上風力開発(株):幹事会社、東北電力(株)、秋田県南部沖浮体式洋上風力(同)、ジャパン マリンユナイテッド(株)、東亜建設工業(株)、東京製綱繊維ロープ(株)、関電プラント(株)、JFE エンジニアリング(株)、中日本航空(株))は、グリーンイノベーション基金事業(GI基金)「洋上風力発電の低コスト化」プロジェクトフェーズ2における「浮体式洋上風力実証事業低コスト化による海外展開を見据えた秋田県南部沖浮体式洋上風力実証事業」について、NEDOと交付決定通知書を手交し、正式に研究開発を開始したことを、10月4日に発表した。秋田県南部沖の沖合約25km、水深約400mの海域に、1基あたり15MW超の風力発電機2基を設置する実証事業に取組む。同事業では、EPCIの分野で6テーマ、O&Mの分野で1テーマの計7テーマについて取り組む。期間は 2024年8月から2031年3月で、運転開始は2029年秋頃を予定している。
https://www.jmuc.co.jp/news/assets/20241004_nedogi_floatingtypeoffshorewindpower_jp.pdf
5.ENEOSリニューアブル・エナジー、ノルウェーの浮体式洋上風力発電に参画
ENEOSリニューアブル・エナジー(株)は、ノルウェーのゴリアットヴィンド浮体式洋上風力発電事業を行う事業会社の株式の20%を購入する契約を締結したことを9月18日に発表した。同事業では、設備容量7.5万kW(1.5万kWの風車5基)の浮体式洋上風力発電所を建設・運営するもので、2028年の商用運転を目指している。
https://www.eneos-re.com/news/pdf/news_20240918.pdf
6.東洋建設、自航式ケーブル敷設船の起工式を挙行
東洋建設(株)は、9月24日に、Vard Group AS(ノルウェー)と建造契約を結んでいる自航式ケーブル敷設船の起工式をルーマニアの同社造船所で実施したことを発表した。同船は、自航式ケーブル敷設船として国内最大級の能力を持ち、2026年度上期の完成を目指している。
https://www.toyo-const.co.jp/topics-21030
7.11/1、日本科学協会が研究発表会-ブルーエコノミーとその加速に向けて-
(公財)日本科学協会は、11月1日に、助成研究者研究発表会を開催する。同発表会は、笹川科学研究助成事業と産業界との連携を目指しており、第3回となる今回のテーマは「ブルーエコノミーとその加速に向けて」となっている。当日は、研究助成のOB・OGによるリサイクル材料を用いた沿岸域の環境修復、ドローンリモセンによるブルーインフラ調査、東京湾奥部の人工環境の魚類への影響等に関する研究発表の他、ブルーエコノミーについて、大阪公立大学大塚教授による基調講演、ジャパンブルエコノミー技術研究組合の桑江理事長による特別講演が予定されている。また、発表会終了後には、研究者との交流が可能な懇親会も予定されている。参加費は、発表会、懇親会とも無料(会場定員になり次第締切)。
https://www.jss.or.jp/ikusei/sasakawa/seika_event.html
申込フォーム
https://forms.gle/qCF1Lizj4x2BuBq8A
8.米政府、オレゴン州沖の洋上風発事業権の入札を延期
米国内務省海洋エネルギー管理局(BOEM:Bureau of Ocean Energy Management)は、9月27日付のニュースリリースで、オレゴン州沖の海域における洋上風力発電事業権の入札について、現時点で入札者の関心が不十分なため延期すると発表した。米政府は、2024年8月29日に発出された最終販売通知(FSN)に基づき、入札日を10月15日に設定していたが、入札参加資格のある5社のうち、関心を示したのは1社のみであった。
https://www.boem.gov/newsroom/press-releases/boem-postpones-oregon-offshore-wind-energy-auction
9.EU、大規模な浮体式波力発電の実証プロジェクトを承認
欧州海洋エネルギーセンター(EMEC: European Marine Energy Centre)は、9月10日付のニュースリリースで、大規模な波力発電の商業化を目指す1,960万ユーロ(約32億円)のパートナーシッププロジェクト「WEDUSEA」が、EUから正式な承認を得たと発表した。同プロジェクトは、英国、アイルランド、フランス、ドイツ、スペインの産学14機関の協働によるもので、スコットランドのオークニー諸島にあるEMECの波力エネルギー試験場においてグリッド接続された1MW浮体式波力発電機「OE35」の実証試験を2年間にわたって実施する。本試験で発電された電力は、EMECの海底ケーブルを介して英国の送電網に送られるとのこと。
https://www.emec.org.uk/innovative-wave-energy-project-receives-green-light-from-eu/